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スウェーデンハウス、子育て、料理、暮らしのこと
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2024/05/18 (Sat)
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2009/09/26 (Sat)
父と息子。母と息子。父と娘。母と娘。

親子の密着、親の強い束縛を示す様々な事例、親殺し事件、歌などの作品を紹介しながら、現代人は、母性とか、親の存在とかを重視しすぎ!という理論を展開しています。

「自分が駄目なのは、こんな親に育てられたから」という風に親子関係に原因を帰属して、そこから抜け出せない人たち。

成人になっても、中年になっても、老年になっても、そこにとらわれ続ける人たち。

そんな人たちに向けて、「親子関係は全て、治療不可能な病のようなもの。でもまあ、その影響は、考え方次第で軽減できる。そこだけにとらわれすぎずに、自分を解放しながら生きてみましょう」というメッセージを示しています。

精神科医として、現在抱えている問題を解決する方法としては、有効なのだろうなと思います。


ただ、全般的に、いまひとつ、共感出来ない。

母の愛に感謝する様々な作品や、皇太子の「家族は社会の最小単位」という発言に対しても批判的反応をしていますが、そこって、そんなに問題か?と思ってしまう。

そこに病理はないだろう・・・と思う私が鈍感なのか。


でも、「親子という病」に結論に持って行くために、若干、無理な分析と論理展開をしている、という感が否めません。

私自身が、「結局、親子関係ってすごい、影響力あるぞ」と、考えているせいもあるかもしれません。
反論であっても、同感であっても、いずれ、色々と考えさせられる本ではあります。

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2009/09/16 (Wed)
先日、『妻のきもち』という本の感想を書きました。『妻のきもち』は、妻の立場に偏りすぎかな、という感想だったのですが。

その本の、反対側にあるのが、この本です(笑)。反対側過ぎて、ちょっと笑えます。

「妻」が、もう、こてんぱんにやられてます。

著者は、夫婦問題の相談にのる仕事らしいのですが、ここまで片方に厳しくて、仕事が成り立つのだろうか・・・と心配になるくらいです。

相談者からの手紙を紹介し、その言動の駄目な部分を、ばしばし指摘する、というコーナーも(何だか、陰口を聞いてるみたいで、嫌な気分になります・・・)。

携帯のメールを盗み見たり、カバンの中を探したりする、ぶくぶく太る、嫉妬、逆ギレ、等々。
夫の愛情が無くなるのは、そういった妻のモンスター的態度が原因!と断定しています。

確かに、一理あると思います。気をつけよう、と思います。でも、厳しすぎます、二松さん・・・。

もうひとつ違和感があったのが、やたらに、男性側がその気にならないセックスレスの問題に言及していること。問題の設定、原因の分析が、一面的すぎると感じました。

そういいながらも最後まで読んでしまったので、まあ、二松さんの勝ちなのかも知れません。インパクトはありました。


2009/08/10 (Mon)
何となく興味をもって予約して借りたこの本。

自分の仕事(ケースワーク)の教科書になるような物語でした。

波さんと、ハルさんという、2人の女性ホームレスの人生と、自立を描いたルポルタージュです。

書き手は、記者ではなくて、ホームレスの相談、自立支援を行っているボランティアです。

2人の女性は、住まいを得て、自立してゆくのですが、それを支える人たちとして、保健所の保健師や医師、福祉事務所のケースワーカー、町の高齢者福祉課職員、そして、ボランティアとしての著者がいます。

何より素晴らしいのは、上に立って助ける、というやり方ではなくて、横に寄り添い、ある時は後ろからついていって、本人の想いを尊重しながら関わっていることです。

これは、言葉にするのは簡単ですが、実際にそれを行うのは大変なスキルや視座が必要です。

また、関係する人々のネットワーク構築がうまくいったときに、奇跡のように、物事がうまく運ぶ、ということが分かります。

本では、うまくいったところだけではなくて、長期的な支援の難しさも分かりやすく示しています。


波さんは、知的なハンディキャップがあって、それに関する支援が受けられないまま大人になり、性を売ったり、男性に搾取されたりしながらホームレスになった人。ホームレスの状態で妊娠し、テレビに報道されました。

ハルさんは、3人の子どもが成人するまで立派に育てて、生活出来る家があったのに、捨ててホームレスになった人です。

著者の関わり方は、専門的なスキルを持った、でも彼女たちにとっては、とても親身な友人(あるいは姉)のような存在になっています。

ケーキや、マフラーの差し入れ、など、私たち行政スタッフには出来にくい所もさらっと出来ていてうらやましい。

また、本人を納得させるために、同じホームレスの人をキーパーソンと見込んで、ケース会議に参加してもらう、という展開も、まあ見事で素晴らしいです(その判断が成功に導きます)。

個人情報、守秘義務の壁、というのが現実にあるのは確かですが、こういった人と連携を組めれば、より多くの人の生活を、より、実質的に支えていけるのかもなあ・・・と思いました。


2009/08/07 (Fri)
世界で、100万人位の人が、この本の感想を書くのだろうと思いつつ。

ゲーマーにとっては、ドラクエが発売されるのが心待ちで、発売されたら、仕事休んでもやりたい!という楽しみ具合のようですが、私にとっては、村上春樹の本がそんな感じです(その割には読み始めるの遅かったですが^^;)。


物語は、天吾くんと青豆さんのそれぞれの物語が、交互につづられていきます。

2人の生活や体験は、当初、かけはなれていて、パラレルであると感じますが、ふたつの物語は徐々に近づいていき、交錯をはじめます。


物語のひとつの軸は、天吾くんと青豆さんの少年少女期の心の深い結びつき、そして、大人になった2人が、相手の存在をどのように自分に位置付け、とらえなおしていくか、そして、2人は運命の人として、出会えるのか、ということです。

そして、もうひとつの軸は、「空気さなぎ」という物語と、その作者ふかえりの存在。その背景には、日本が生み出してきたもの、光の反対側にある、深い影のようなものが描かれています。


読んでいて感じたこと。

1.天吾と、青豆のストーリーが徐々に交錯し、2人の気持ちが、離れたところにいながら、からみあってゆく過程は、心をかきたたせ、自分の深いところが刺激される感じでした。

2.戦後、日本の歩んできた方向、その中で、安保闘争や、オウム真理教が生まれたこと。生物・遺伝子操作の進歩。
そういったことの意味と背景を、1Q84の世界という形をとりながら、象徴的に描いていると感じました。

3.空気さなぎ、リトルピープル、マザとドウタ・・・。それらが、どういった意味をもつのか、というのが、読後も、今ひとつ整理が出来ていません。私の頭が悪いためだと思われます(笑)。

ひとつ、疑問なのが、失踪の後に現れたふかえり。「わたしにはセイリがない」と言っています。ということは、このふかえりは、ドウタなのでしょうか。最初からドウタだったのか。失踪後にドウタが現れたのか。

それが、ふかえりのドウタだとすれば、それは何故なのか。リーダーの死とリンクしていて、天吾が次のリーダーに選ばれたのか?


・・・あと、5回位読めば、段々かみくだいていけるのかも知れません。
総論としては、すごくおもしろかったし、名作だと思います。

以上。


2009/08/05 (Wed)
河合隼雄先生は、日本で最も、対談の上手な方だったのではないかなと思う。

対談のパートナーが投げかける問いに対して、素晴らしく的確に、おもしろく、レスポンスを返してくれる。

2人の対話は、掘り下げられ、深まっていって、ちゃんと、たどり着くべきところにたどり着いていく。

読んでいると、やはり、河合先生は、希有のカウンセラーなのだ、ということを実感させられる。

1対1で向かい合うときに作り出される世界、というのが、暖かく、読んでいるだけで居心地が良い。これは、河合先生のパワーだと思う。


でも、この本は、本当に残念なことに、たどり着く直前で、終了してしまっている。「次はこんな話をしましょう」という言葉を先生は残したまま、その2か月後に、先生は言葉が発せられない状態になってしまったから。

最後の小川洋子さんの文章には、その残念さが、にじみ出ていて、胸を打たれる。

私は心理学出身なので、河合先生のことをすごく尊敬していて、その偉大さは、美空ひばりさんなみ!と思っていた。

亡くなられたことが本当に残念。

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みかづき
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自己紹介:
北国の山に囲まれて育ち、今は山のない関東平野に住んでいます。夫、子ども3人(ボン13歳 ヒメ8歳 マナ6歳)、自分の母と暮らしています。フルタイムワーカーでもあり、大忙しで日々が過ぎてゆきます。
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