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スウェーデンハウス、子育て、料理、暮らしのこと
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2024/05/18 (Sat)
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2009/07/23 (Thu)
ドラッグにはまった少年や少女の事例から始まります。腕の中にいる虫が無くならないと感じて、たわしで腕を削り続ける、など、衝撃的なエピソード。

そこから、ドラッグの種類・出現する症状と事後の副作用の出方などが、くわしーく、書かれています。

覚醒剤から始まり、マジックマッシュルーム、シンナー、等々、ドラッグの種類の多様さに驚きます。

症状に関する表現(全能感・多幸感・幻覚・セックスでの効果等)が、具体的で生々しく、ドラッグに手を出してみたい人にとっては、逆に興味をそそるかも・・・。

しかし、よく読めば、その反対側にある悪い症状もまた、すさまじく、体と心を厳しく痛めつける毒薬であることも、よく分かります。

後半には、ドラッグから脱出するための手段(ダルクなど自主グループへの参加)や代表者へのインタビューも。

各都道府県の相談窓口等も列記されており、多くの人のニーズを満たす網羅的な内容になっていると思います。

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2009/07/22 (Wed)
南田洋子さんが認知症となり、夫の長門さんが献身的に介護されていることは、2008年11月のドキュメンタリーによって、大きな話題になりました。

この本は、南田さんの現在の様子と、介護の現状を中心に、過去の夫婦の歴史についても描かれています。

読んで分かったことは、南田洋子さんという方が、女優としてだけではなくて、女性として素晴らしい人であるということです。

長門さんが、これだけ深い愛情を持って介護が出来る、ということは、ひとえに、南田さんが素晴らしい妻であるということを表しています。

実際、過去の長門さんの借金や、浮気を度量広く許したり、夫に対して愛情深く接する態度に、強い尊敬の念を覚えます。

菩薩のようだ、とさえ思いました。



私は今、高齢者を対象としたケースワーク業務をしているのですが、その仕事の中で、強く実感していることがあります。


高齢者になって、体が弱ったとき。家族の支援を受けないと生活出来なくなったとき。

過去に、自分がどのように家族に接してきたか、ということが、本当に、そのまま自分に返ってくるのです。

妻をないがしろにしてきた夫は、介護のときに妻に冷たくされます。
子どもを叩きながら育てた親は、年を取ると子どもに叩かれながら介護されます。
もちろん、介護を放棄されることもあります。

そうならないように、介護保険サービスや施設等の調整をするのが私たちですが、家族関係に愛情を復活させることは、他人には出来ません。

愛情どころか、家族に対し、深い憎しみを抱いている人は、案外多いのです。

家族なんかに頼らず、お金で施設に入るから、いいと思っても、お金を家族に搾取されたり、ひどい邪魔されたり、ということさえあります。

日本は、親族に頼るという意識が強いため、各種サービスの利用も、キーパーソンになる親族がいないと支障がでる場合があります(ただ、本当にお金があるのなら、第三者に親族代わりを委任する方法はあります)。



そういった意味では、南田さんが過ごしてきた人生や妻としての姿勢のご褒美が、今なされているのだと思います。

そのことを、実感させられる本でした。

ただ、ひとつ。
家族介護だけが愛情の示し方ではないので、介護に限界を感じたら、プロのサービスを入れて欲しいなあ、と思いました。
介護に限界を感じたとき、施設でプロによるケアを受けるという選択も、愛情!だと思います。


2009/07/14 (Tue)
物語の奥に、その著者ならではの世界観が広がる人。

大抵はそうなんだろうけれど、それが色濃く、くっきりと現れる作家というのは、今、それ程多くないのではないかと思います。

個人的には、村上春樹が筆頭ですが、小川糸さんの小説も、独特の世界観があります。

この物語は、谷中が舞台になっているのですが、その描き方が細やかで、もし小川さんが谷中に住まずにここまで描けているとしたら、すっごいなあ・・・、プロだなあ・・・と感嘆せずにはいられません。

ストーリーは、谷中でアンティークの着物屋さんを営む栞さんと、客としてお店を訪れた春一郎さんの恋愛が軸になっています。

『食堂かたつむり』と同様に、食が大切に描かれていて、谷中の街の美しさや住む人の暖かさもあいまって、読後にほんわかと幸せ気分になる物語になっています。


ただ、個人的には、ひとつ気になることが。

春一郎さんのあり方が、「女子(女性ではなくて)の好む男性像」の範囲を出ていない、と感じます。

男性としてのリアリティが薄いように思います。

春一郎さんが高所恐怖症であることをきっかけに手をつなぐエピソードが、ちょっと、興ざめる。

それから、初めて2人で一夜を過ごす晩に、精神的な深まりを示す象徴的エピソードはあるものの、男性は、こんな感じで好きな人と夜を過ごすでしょうか??と思いました。

とはいえ、なんだかんだ言っても、全体的には良い本です。

読んだ後、しばらくは小川糸ワールドの、素敵な女子になった気分になれます。

女子にお勧めです。


2009/07/12 (Sun)
末期ガンによりあと数ヶ月の命との宣告を受けた46歳の著者が、2007年9月に所属していた大学で「最後の講義」を行いました。

この本は、その、最後の講義を行うまでの過程や、さらに伝えたいことをまとめたものです。


講義のテーマは、「子どもの頃に描いた夢を実現するために」。

この本の中でも、自分の夢をどのように実現してきたか、具体的なエピソードを交えながら、生きるうえで持つべきスタンスを伝えてくれています。

ある意味、自己啓発本。

闘病記、死にゆく自分に関することではなくて、「人はいかに生きていくべきか」。

そういった内容である理由は、まだ幼い我が子達に、父がどのように生きたかを伝えたいからです。

「最後の講義」の最後でも、「この講義は、自分の子ども達に向けたものでもあるのです」とコメントしています。


子どもの大切な時期のおりおりに、自分が立ち会えない、自分からのメッセージを伝えられないつらさ。幼い子を残して先立つことの、最大の哀しみだと思います。それを、講義や、本という形にして、出来る限りのメッセージを伝えようとしています。

父が、いかに生きてきたか、人生をどう考えているか、という具体的メッセージを描きながら、全体をおおっているのは、限りのない愛情。

妻と、3人の子ども達に対する、限りない愛情が、講義にも、本にもあふれています。家族愛って、すごいなあ・・・と思いました。

そのことに、感動を憶える本でした。


2009/07/10 (Fri)
中学1年生、ボンの教科書に載っていた、『オツベルと象』。

国語の授業で、読後に分からないところを提出しあい、それに対して自分の意見を考えるという宿題があるのだが、やっぱりさっぱり分からない、というので、母も「どれどれ」と読んでみました。


そしたら。  

・・・すごい。宮澤賢治様、すごすぎる。言葉をつむいでいくことで、こんなにあっという間に、独特の世界に連れて行ってくれる。それでいて、ストーリーが、超・含蓄に富んでいる。

さすがです。


中学生の最大の疑問は、「最後の一文の意味が分からない」というものだったようです。


オツベルは、経営する仕事場に迷い込んできた白象をてなづけ、その善良な心につけこんで、手かせ足かせをつけて働かせる。オツベルを信じ、頑張りに頑張って働きすぎて、やせ細った象は、突然に現れた「赤い着物の童子」に手紙をゆだね、森の仲間に渡してもらう。

それによって象の襲撃を受けて、オツベルは死んでしまうのですが、そういったストーリーの最後に、突然、「おや、川へはいっちゃいけないったら」という一文が来るのです。

その、唐突な最後の一文が、この物語全体に、不思議なベールをかけていて、鳥肌がたつ位です。


その文章の解釈や如何に?と息子ボンと議論したのですが、私は、白象がオツベルに「川から水を汲んでくれ」と頼まれるくだりがあることから、オツベルから解放されてもなお、白象は、ふらふらと川に行ってしまったのかな、と答えました。

しかし、ネット上においては、物語の冒頭に「牛飼いがものがたる」とあることから、その聞き手が川に行こうとしたのを止めたものではないか、という解釈が主流なようです。

確かにそれも、すごく筋が通っていますね。


答えは、作者の中にしかないのかも知れないけれど、こういった、よく意味の分からない不思議な文章があるというのも、宮澤賢治の魅力かと思います。


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北国の山に囲まれて育ち、今は山のない関東平野に住んでいます。夫、子ども3人(ボン13歳 ヒメ8歳 マナ6歳)、自分の母と暮らしています。フルタイムワーカーでもあり、大忙しで日々が過ぎてゆきます。
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